当法人のカウンセリングに対する考え方
~当法人のカウンセリングに対する考え方についてのご紹介です~
カウンセリングとは?
世の中で「カウンセリング」という言葉はよく使われていますが、では「カウンセリングって何?」と聞かれると、よく分からない、答えられないという方が多いのではないかと思います。 ここでは、日本のカウンセリングの創成期から臨床・講演・執筆に尽力なさった友田不二男先生の著書から、カウンセリングについての記述を引用してみます。
- 「自己の構造」より(※ページ下部を参照してください)
- 「かりのやど」より(近日中に更新します)
「自己の構造」より
「正体不明のある個人と正体不明のある個人 とが、なんらかの接触をつづけてゆく過程において、なんらかのパースナリティの変化を生起することである」
友田不二男「自己の構造」(当法人発行)p-12より
補足(上記の文に使われている言葉をさらに詳しく説明しています)
- 正体不明のある個人と正体不明のある個人---「正体不明のある個人」を「カウンセラー」と呼び、他方の「正体不明のある個人」を「クライエント」と呼ぶ
- クライエント---なんらかの問題なり課題なり困難なりに直面して、なんらかの援助を求めるために、積極的かつ自発的に来訪もしくは来談するが、しかし決して、最終的・究極的な意味において、自分の責任を他人に引き渡してしまうようなことがない人
- ~と~とが---この「~と~とが」という表現は、あくまでも「協力」を意味するわけですし、しかもその「協力」は、「いっしょに同じことをやる」という意味での「協力」ではなく、前者と後者とがそれぞれ異なった性質の仕事を遂行しながら、全体的にはひとつのまとまりのある成果が達成されてゆく、と言う意味での「協力」であります。端的に言えば、それは、「同質の協力」ではなくて「異質の協力」なのであります。もしもこのことが正確かつ十分に理解されないならば、その「カウンセリング」は、名前こそ「カウンセリング」と呼ばれようとも、実際にはまったく似て非なるものになってしまうでしょう。
- 「クライエント」がなすべき仕事---誰よりも「クライエント自身」がもっともしたいと思うことをできるだけ最大限に遂行することです
- 「カウンセラー」がなすべき仕事---「クライエント」が、今、そこで、もっともしたいと思うことができるだけ最大限に遂行できるように援助することなのであります。
- カウンセラーの動き---「クライエントが表明したクライエントの気持」をできる限り敏感に感じ取り、その「自分が感じ取ったところ」を、できる限り正確な言葉にして「クライエントに伝達する」ことをやっている、といってよいでしょう。
- なんらかの接触---「接触」という言葉で基本的に意味していることは、俗にいう「ヒザを交えて」ということなのであります。しかもこの「ヒザを交えた関係」は、決して一方が他方に「話をさせようとする」のでもなければまた、一方が他方に「話をしなければならない」ことを要請されているわけでもありません。ましてや、一方が「聞き役に回らなければならない」などという規則など、どこにもないのであります。
- パースナリティの変化
- この「変化」が、決して単に「クライエント」の方ばかりに起るのではなく、「カウンセラー」の方にもまた起る、ということであります。もちろん、その「変化の度合」に関していえば、前者の方がはるかに大きい、といってよいでしょう。
- それについては現在なお、専門的には、さまざまな研究が遂行されつつあり、さまざまな論議が展開されつつあるのであります。が、このことを一応ハッキリとおことわりした上で、目下のところでは、この言葉は、「人間の成長」ということと密接している「何か」を意味している、と申し上げておきましょう。
- 生起する---いわば「自然に生起する」ことであって「人為的にもたらされる」ことではないということも、この機会に強調しておきたいと思います。今日では、一般に、人為的な操作主義的な考え方や行動が、あたかも「正常」な「当然」の考え方であり行動であるかのように思われておりますので、「自然に」ということ、「おのずから」ということ、が、非常に分かりにくくなっているようです。
友田不二男「自己の構造」(当法人発行)p-13~21より抜粋